ダイエット中なのに、つい甘いものを食べてしまうという人は多いのではないでしょうか。
甘いものが食べたくなるのは、抑えられない食欲のせいです。
食欲は生命にとって重要なのですから。
だからといって食欲のままに食べていたらダイエットは上手くいきません。
しかし、空腹を我慢するのは辛いですよね。
過食を防ぐためにも抑えられない食欲をどうにかしなければなりません。
食欲は体内で分泌されるホルモンで調節され、それは生活習慣や食習慣が影響しています。
食欲を抑える方法は、薬剤や漢方、サプリメントなどさまざまですが、先ずは、「生活習慣や食習慣から見直しましょう。」というわけです。
管理栄養士である筆者が食習慣をヒントに甘いものが止められない理由と、食欲を抑えるための方法についてお話します。
甘いものを食べたくなるのはなぜ
甘いものが食べたくなる理由がわかれば、食欲を抑える方法も見つかるかも知れませんよね。
甘いものが食べたくなる理由は、食習慣や生活習慣が影響します。
では一緒に考えてみましょう。
体内の栄養素が不足している
動物は体内の不足している栄養素に強い食欲を示すといわれます。
例えば、お腹が空いているとき、甘いものが欲しくなりますよね。
甘いものにはエネルギー源となる糖が含まれるからです。
ストレス
ストレスはホルモンや脳内物質に作用し、食欲に影響を与えます。
ストレスが溜まると、脳内物質の「ノルアドレナリン」が増加し、食欲が増します。
「幸せホルモン」と呼ばれる「セロトニン」はノルアドレナリンをコントロールして、食欲抑制に働きます。
ストレスに抵抗するために、副腎皮質から「コルチゾール」が分泌されます。コルチゾールは「ストレスホルモン」とも呼ばれています。
ストレスから開放されると、コルチゾールも減りますが、ストレスが長期に続くと、コルチゾールが分泌され続けてしまいます。
コルチゾールが増えすぎると、セロトニンの分泌を減少させてしまいます。
ストレスによって食べてしまうのは、ノルアドレナリンの増加や、セロトニンに減少が関係し、食欲が抑えられなくなるからです。
アルコール
お酒を飲んでいるとき、おつまみが食べたくなりますよね。
お酒を飲むと食欲が増すのはいくつかの理由があります。
アルコールは胃腸の働きを亢進する
適量のアルコールなら胃腸の血流が良くなることで体も温まり、胃腸の働きが亢進して食欲を増進します。
食べ物を消化吸収するとき、たくさんの血液が胃腸に流れます。
アルコールで胃腸の働きが亢進し、食べ物を受け入れる準備をするわけですね。
胃酸分泌で食欲が増す
お酒を飲むと胃酸の分泌を促進するため食欲も増します。
胃酸は胃に入った食べ物を殺菌したり消化吸収したりする役割があります。
香辛料や好きな食べ物などの刺激によっても胃酸が分泌されます。
カレーを食べると食欲が増すのは、香辛料の刺激によるからですね。
アルコールはレプチンを減少させる
アルコールは食欲を抑えるホルモンである「レプチン」を減少させる作用があります。
レプチンとは脂肪脂肪から分泌される肥満を抑えるホルモンです。
レプチンが脳の視床下部にある満腹中枢に作用して食欲を抑えます。
また、レプチンは交感神経を活性化して、脂肪を燃焼と筋肉でのエネルギー消費を増大させるので、体脂肪の減少につながります。
レプチンはダイエットの鍵をにぎる重要なホルモンであることがわかりますね。
お酒を飲むと糖分が必要
お酒を飲んだ後は、「締めのラーメン」とよく聞きますよね。
ラーメンに含まれる主な栄養素は「炭水化物」、つまり、糖です。
では、お酒に含まれるアルコールの話をしましょう。
お酒の主成分はエタノールです。エタノールは体内でアセトアルデヒドに分解されて、さらに酢酸になります。
酢酸はエネルギーを産生するクエン酸回路に入り、最終的に二酸化酸素に分解されます。
酢酸がクエン酸回路に入るには糖が必要なのです。
お酒を飲むとエタノールを分解するために糖が使われて、血糖値が下がってしまいます。
血糖値が下がると、脳が「エネルギーが不足している」と司令をだすので、糖を含むラーメンが食べたくなるのです。
ラーメンではなく、同じく糖を含むおにぎりやチャーハン、お茶漬け、人によっては甘いものという場合もあるでしょう。
しかし、血糖値が下がるのは一時的です。
血糖が下がると、肝臓に蓄えられているグリコーゲンが分解されて、再び血糖を上げ始めるので「食べたい」と思っても抑えましょう。
無理なダイエット
食事を抜いたり、極端に減らしたりする無理なダイエットは食欲が抑えられない事態を招き、肥満の原因になります。
無理なダイエットによって、体脂肪が急激に減ると、レプチンが低下するからです。
レプチンとは前にも話しましたが、脂肪細胞より分泌される食欲を抑えるホルモンです。
食欲が増して、脳がエネルギーを補うために甘いものが欲しくなるというわけです。
食欲が抑えられなくなるのにはもう一つ理由があります
レプチンが低下すると、甘味が感じやすくなり、食べ物がよりおいしく感じるため、食事量が増えてしまうのです。
無理なダイエットによって食欲が増し、食べ物がよりおいしいわけだから、リバウンドを起こしやすいのも納得できますね。
睡眠不足
不規則な生活を繰り返すと、睡眠サイクルが乱れ、十分な睡眠がとれなくなるでしょう。
短い睡眠時間は空腹感を促すグレリンというホルモンの分泌量を増加させます。一方で、食欲を抑えるレプチンの分泌量が低下するために過食の原因となります。
しかし、交代勤務などで睡眠サイクルが乱れてしまうこともあるでしょう。
明暗サイクルに関係なく、生活環境を整えて、十分な睡眠をとることが大切です。
甘いものが止められないときはどうする?
甘いものが食べたくなる理由についてお話しました。
甘いものが欲しくなるのは、ホルモンや脳内物質が食欲に関わります。
では、食欲をコントロールするにはどうしたら良いでしょうか。
甘いものが止められないときは次の食習慣を見直してみましょう。
- 夜食を控える
- 食事をよく噛む
- 朝食を抜かない
- 規則正しい3回の食事
夜食を控える
仕事や家事、外出などで食事がとれないとき、空腹時でも活動することができますよね。
それは、すぐに食事をしなくても、肝臓のグリコーゲンを分解して糖を脳などに補給しているからです。
肝臓のグリコーゲンは空腹時には少なく、食事によってまた増加するしくみになっています。
そのしくみを崩すのが「夜食」です。
睡眠時間前に食事をすると、摂取した糖質やタンパク質が筋肉や肝臓でグリコーゲンの合成に利用されないからです。
グリコーゲンが合成されないばかりではなく、脂肪をつくりやすいことが考えられています。
グリコーゲンを分解して糖を効率良く利用するためには、寝る前の約4時間前までには夕食をすませておき、それ以降の食事は控えることが大切です。
食事をよく噛む
食欲を抑えるホルモンであるレプチンがダイエットに重要であることは前にお話しましたね。
もう一つ、食欲を抑えるのに重要な役割をするのが「噛むこと」です。
よく噛むことによって、脳の視床下部に作用して、ヒスタミンというタンパク質がつくられます。
このヒスタミンが視床下部のヒスタミン神経を刺激して、食欲を抑えるのです。
また、ヒスタミンは食欲抑制以外にも、脂肪の燃焼を促し、レプチンと似たはたらきをします。
「噛むこと」はダイエットにとっても重要であることがいえますね。
食欲を抑えるには、噛むことが必要な食材を取り入れることです。
食事に米粒のご飯や、食物繊維が多い野菜、きのこ、海藻などが良いでしょう。
朝食を抜かない
朝食を抜くことでエネルギー不足となり、甘いものが欲しくなるのはもちろんですが、朝食を重視する理由は他にもあります。
毎日朝食を食べる習慣がホルモン分泌リズムの形成に不可欠だからです。
夕食から長時間の空腹を経て食べる朝食は脳に「朝がきた」と身体全体に目覚めを伝えます。
そのタイミングで朝食を摂ると、脳の働きや活動力を高めることができます。
副腎皮質ホルモンのリズムは朝にピークを示し、燃料切れの身体にエネルギーを供給する準備状態にするのです。
朝食を抜くと、ホルモンバランスが崩れて、効率よくエネルギーが供給されず、過食の原因にもなるでしょう。
十分な睡眠をとり、一日3回の食事を規則正しく食べる生活習慣こそダイエットの秘訣といえますね。
規則正しい3回の食事
一日3回の食事を規則正しく食べることで、身体のリズムをつくり、だらだら食べることを防ぐことができます。
規則正しい身体のリズムとは、食事前にお腹が空き、食事予定時刻には栄養素の代謝や消化・吸収の準備ができていることです。
栄養素の代謝や消化・吸収が効率よく行われるためには副腎皮質ホルモンのリズムを形成することが必要です。
副腎皮質ホルモンのリズムは規則正しい栄養補給によって形成されると考えられています。
まとめ
ダイエット中の過食を防ぐために、甘いものが食べなくなる理由と対策についてお話しました。
甘いものが食べたくなるのは次の5つの理由があります。
- 体内の栄養素が不足している
- ストレス
- アルコール
- 無理なダイエット
- 睡眠不足
間食で甘いものが食べたくなることもありますよね。
空腹を我慢することはとても辛いものです。
空腹を無理に抑えるのではなく、極度な空腹に陥らないためには、ホルモン分泌リズムを形成することが必要です。
先ずは食習慣や生活習慣の見直しが大切でしたね。
次にあげる4つの食習慣がホルモン分泌のリズムを形成し、食欲をコントロールします。
- 夜食を控える
- 食事をよく噛む
- 朝食を抜かない
- 規則正しい3回の食事
事や生活環境によっては生活習慣が乱れてしまう場合もあるでしょう。
一つでも取り組むことが大切です。
ぜひ、一緒に甘いおやつの誘惑に負けない身体リズムをつくりましょう。
管理栄養士も利用しているおすすめ低カロリーおやつについてはこちらの記事を参考にしてください。
食欲が抑えられない!管理栄養士が選んだ低カロリーおやつはこれ!
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