秋といえば、「松茸」を想像する人も多いでしょう。
秋に採れる野生キノコは魅力がいっぱいです。
秋も深くなってきた10月23日、我が家でもキノコ採りにでかけました。
今年は、大量の「ハナイグチ」が採れましたよ。
「ハナイグチ」はカラマツ林の代表的なキノコで「ジコボウ」(長野県など)、「ラクヨウ」(北海道など)の地方名でも知られています。
少し歩くと、見覚えのあるキノコを発見。
「クリタケ?」
手持ちの図鑑でクリタケの特徴と画像を照らし合わせましたが、一つの図鑑だけでは「クリタケ」であるとは判断できません。
山キノコは同じ種でも、発生する地域や環境、成長段階によって大きく変化するからです。
この記事では筆者が山で見つけた「クリタケ」をどのようにして「クリタケ」を見分けたのかを記します。
クリタケの特徴
山でクリタケらしいキノコをみつけたけど、本当にクリタケでしょうか?
安全性が確認できたキノコ以外は絶対に食べないでくださいね。
「クリタケ」の特徴をお話しましょう。
見分けのポイント 傘
- 赤褐色で周辺部は淡食
- 縁部は内側に巻く
- 縁部に小型の鱗片が散々する
見分けのポイント ひだ
- 初め傘より淡食で、成熟すると紫褐色で密である
見分けのポイント 柄
- 上部は傘より淡色、下部は暗色
- 下部が顕著な繊維状
見分けのポイント 発生場所
おもに広葉樹の枯れ木や倒木
参照:「しっかり見分け 観察を楽しむ きのこ図鑑」(監修 吹春 利光 著 中島 敦志)
もしかしたら毒キノコ?食べられるキノコかどうか迷ったら?
山で見つけたキノコはすぐに判断しないで、よく調べましょう。
4つの調べる方法をお話します。
専門家に聞く
きのこ鑑定士などの専門家にみてもらうことが第一選択です。
専門の資格を保持している人は、キノコに関する経験や知識がありますので、先ず安心ですよね。
きのこの資格は他にも、きのこアドバイザー、きのこソムリエ、きのこ検定、きのこマイスター、菌類インストラクターがあります。
筆者もキノコ鑑定士にみてもらうことが多いです。やはり、専門家にみてもらうのが最速で安心ですからね。
各都道府県や市町村にキノコの鑑定できる時期や施設を確認すると良いでしょう。
他の図鑑も調べる
一冊の図鑑に掲載されているのは、何千種とあるキノコのごく一部でしかありません。
同じ種でも別の図鑑の写真と「絵合わせ」すると確信が持てますよね。
インターネットで画像検索をする
世界中の情報が得られたり、他の採取者の画像情報が得られたりしますので、共通点や相違点を絵合わせすると良いでしょう。
SNSを活用しよう
ブログやSNSの普及にともない、キノコの名前を簡単に尋ねることが出来ます。
投稿する際は、傘の上からだけではなく、裏側の写真も添えるなどして、手がかりを増やすことが大切です。
あっという間に「答え」が手に入るかもしれませんよ。
採取したクリタケを画像検査してみた
採取したクリタケとインターネットで検索した画像を見比べてみました。
★採取したクリタケ
★インターネットで検索したクリタケの画像
インターネットの画像と採取したクリタケの写真を絵合わせすると、傘やひだ、柄の色や、傘の縁部に鱗片がある点が共通していることがわかります。
採取したクリタケは広葉樹に生えていたという点で、クリタケの特徴とも合致します。
図鑑やインターネットの画像検索とも共通点が多いからクリタケに間違いなさそうですね。
クリタケと間違えやすい猛毒「ニガクリタケ」とは?
クリタケと間違えやすい猛毒のキノコに「ニガクリタケ」があります。
誤って食べないためにも、類似種キノコの特徴を知って、明らかな違いを確認することも重要ですよ。
見分けのポイント 傘
- 硫黄色で、中央がやや濃い色
- 表面は無毛平滑に近い
- 吸収性をもつ
見分けのポイント 柄
- 柄は傘とほぼ同色
- 細長くしばしば屈曲
- 表面は繊維状鱗片に覆われる
発生・その他
- 枯れ木や倒木に多数束生〜群生する。
- 「クリタケ」と同じ材に発生することもある。
「クリタケ」と「ニガクリタケ」のちがい
採取した「クリタケ」とニガクリタケ」を見比べてみました。
採取したクリタケ | ニガクリタケ | |
傘 | 赤褐色 縁は白っぽく、鱗片あり | 硫黄食 |
ヒダ | 白っぽい | 傘と同じ |
柄 | 上部は白っぽく、下部は暗い色 | 傘と同じ |
採取したクリタケとニガクリタケの画像では、傘やひだ、柄の色が明らかに違いますね。
「クリタケ」と間違いやすい食用キノコ
「クリタケ」と間違いやすいキノコは、他にもありますか?
「クリタケ」に類似する食用キノコとして「クリタケモドキ」があります。
クリタケモドキ」の特徴と、「クリタケ」との違いをお話しましょう。
「クリタケモドキ」の特徴と「クリタケ」との違い
★クリタケモドキの特徴
クリタケは広葉樹の枯木に生えクリタケモドキは針葉樹の枯木に生える。
傘表面のすべすべ感やしっとり感はクリタケよりもニガクリタケに似ている。
傘:淡い黄褐色、粘性なく平滑、周辺部は淡い色になる。
ヒダ:灰白色→紫灰色
柄:上部は白色〜気白色、下部はさび褐色で中空。
「東京きのこ同好会」より引用
「クリタケモドキ」と「クリタケ」の違いは傘の色でわかるようです。
クリタケは広葉樹に生え、クリタケモドキは針葉樹に生える点でも異なりますね。
クリタケはどんな味がするの?
ということで、今回採取したのは「クリタケ」に間違いないと判断しましたので、早速お昼ごはんにクリタケご飯にしてみました。
一緒に採取したハナイグチの味噌汁と一緒にいただきました。
味はほとんどありませんが、うまみは強く感じますね。
クリタケご飯にはクリタケの他に油揚げを加え、調味料は酒としょうゆ、塩のみでシンプルですが、コクがしっかりあります。
クリタケからでただしのうまみでしょうか。
食べた後も口の中に香りが広がり、大満足な昼ごはんでした。
まとめ
キノコの種類は多く、まだ解明されていないものもあると言われています。
例年、有毒な野生きのこの食中毒が発生しています。
キノコをよく知らない人が食毒の判断をするのはたいへん危険です。
山で知らないキノコに遭遇したら、
①専門家に聞くことが第一選択
次いで、
②複数の図鑑と見比べる
③インターネットの画像を検索する
④SNSを活用しよう
ということです。
キノコに興味があれば、キノコに関する資格を取得するのも良いですね。
野生のキノコは、散歩中に観察を楽しんだり、秋の味覚を味わったり、香りや食感など、五感で楽しめます。
ぜひ、キノコ採りをするときは安全を第一に考えて、秋の自然を満喫しましょう。
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