管理栄養士のゆうみと申します。
ご飯はヒトが生命を営むための大切なエネルギー源です。
毎日の食事にかかせない主食だからこそおいしく食べたい。
ご飯を炊くために炊飯器を使用している家庭も多いでしょう。近年、炊飯器の種類は多種多様であります。どれを購入したらよいか迷ってしまいますね。
炊飯器は高い買い物なので、後悔したくありません。
炊飯器の種類や特徴を知って、ニーズに合った炊飯器を選びましょう。
おいしいご飯が炊けるまで
炊飯は洗米、加水、浸漬、加熱などの操作が行われます。
特に加熱は最もご飯の出来栄えに影響を与えます。火力の調節や、必要な熱量の維持、米粒の対流により、ご飯のおいしさが作れるのです。
おいしいご飯が炊けるまでには加熱における4つの工程があります。
温度上昇期
米粒が粘度のあるやわらかい粒状になるには100℃前後に温度を上昇させる必要があります。短時間で温度が上がり過ぎると、芯ができやすくなります。反対に長過ぎると米粒が損傷してしまいます。
沸騰期
沸騰はなるべく激しくして米粒が対流によって動き、出来上がったご飯粒が立つような火力での加熱します。
蒸し煮期
水分がなくなり、熱伝導が悪くなるので火力を弱くし、米粒の表面にある水分を米粒中に吸収させます。
蒸らし期
米粒表面に付着している水分を完全に吸収させ、ふっくらしたご飯に仕上げます。火を止め、高温で10〜15分間放置し、蒸らし終わったら軽く混ぜ、余分な蒸気を逃がすことが必要です。
加熱方式で選ぶ
加熱方式の種類
美味しいご飯を炊くためにはどん加熱方式の炊飯器を選んだら良いですか。
加熱方式の種類や特徴について教えてください。
電気を熱源とするものには、IH炊飯器と圧力IH炊飯器、マイコン炊飯器があります。
マイコン炊飯器
マイコン炊飯器は釜の底部分に搭載したヒーターで加熱します。釜に密着した底部分しか発熱しないので火力は弱くなってしまいます。そのため少量炊きに向いているといえます。比較的安価なので1人暮らしの方などにはおすすめです。
IH炊飯器
電気はガスに比べて初期の温度上昇が遅いことが欠点でしたので、熱源にIH(電磁誘導加熱)を搭載することで釜自体が温まり火力を強化することができます。
圧力をかけない炊飯は粒が潰れにくいので粘りが少なく粒感が残ります。かためのご飯が良い方にはIH炊飯器がおすすめです。
圧力IH炊飯器
圧力IH炊飯器は圧力をかけることによって、さらに高温で火力が強くなりますので、米飯粒に粘りがでてやわらかく仕上がります。やわらかめのご飯が良い方にはおすすめです。
高温を保つには火力が大切ですね。
火力が強くなるほど価格も上がりますので、圧力IH炊飯器の方が比較的価格は高くなります。
内釜の選び方
内釜は、米粒に熱を伝えるために重要な部分です。材質や厚さ、形状によりご飯の仕上がりにも影響があります。
内釜にはどんな種類がありますか。
内釜選びのポイントについても教えてください。
内釜の種類
多層釜
多層釜はそれぞれの材質を組み合わせた釜のことです。厚さは1.7mm〜10mmほどになります。
内側は熱伝導率(熱が伝わりやすいためムラになりにくい)が高いアルミの場合が多く、外側は大きな火力を発生させ、高温を保ち冷めにくい材質(鉄、ステンレスなど)を組み合わせています。
土鍋に次いで重いので、扱いづらい場合もあるでしょう。
土鍋
温度上昇がゆるやかで、蓄熱性が高いため、ゆっくりさめていきますので、高温を保ちながら米の一粒一粒にじっくり熱が伝わりムラのないご飯に仕上がります。
しかし、重量が重く、衝撃によって割れやすいので、扱いには注意が必要でしょう。
また、土鍋は焦げやすい材質ならでの、おこげが楽しめます。
銅釜
金属では最も熱伝導率が高いので、温度上昇が速く素早く加熱することができます。
土鍋や多層釜に比べて、蓄熱性が高くないので冷めやすい材質といえます。
土鍋や多層釜に次いで重さがあります。
鉄釜
銅やアルミに次いで熱伝導率が高く、蓄熱性が高いため、温度上昇が速く、保温力もあります。
炭素釜
炭は遠赤外線効果が高く、熱効率が良いので米粒に熱がむだなく伝えられ、素早く加熱することができます。熱のエネルギーを無駄にしないので、省エネになるともいわれています。
アルミ釜
マイコン炊飯器によく使われていて、とても安価で軽いので扱い安いという利点があります。
また、銅釜に次いで熱伝導率が高いので、素早く加熱することが可能です。その軽さゆえ多層釜にもよく使われています。
ただ、蓄熱性は土鍋や鉄釜に比べて低いので、冷めやすい材質といえます。
【2021年】各メーカーのおすすめ炊飯器
おいしいご飯が炊けるまでの工程や加熱方式、内釜についてはわかりました。
後悔しないためにどんな炊飯器を選んだら良いでしょうか?
各メーカーのおすすめ炊飯器について紹介します。
象印 炎舞炊き NW―LA型
内釜:多層釜、鉄使用
加熱方式:圧力IH炊飯ジャー
特徴1 6つの低IHヒーターが激しい対流をおこします。炊きムラを抑えて、米粒が立ち、ふっくら仕上げるには激しい対流が不可欠です。
特徴2 内釜に保温性の高い鉄を使用しているので、保温可能時間が40時間と長めです。
TOSHIBA 炎匠炊きRC―10ZWP
加熱方式:真空圧力IHジャー炊飯器
内釜:多層釜、備長炭使用
特徴1 真空の吸収力で時間がたってもふっくらツヤツヤでおいしい。また、真空状態になることで酸化による劣化を防ぎます。保温にこだわる人にはおすすめです。
特徴2 60°の丸底形状によって大きな対流が起き、炊きムラを防ぎます。
パナソニック おどり炊き SR―VSX1シリーズ
加熱方式:スチーム&可変圧力IHジャー炊飯器
内釜:多層釜、内側には耐久性の良いダイヤモンドハードコートを使用
特徴1 可変圧力は加圧と減圧を繰り返すことによって釜内に対流を起こします。
特徴2 高温スチームによって高温を保ち、蒸し煮の際に旨味を閉じ込めます。
タイガー 土鍋ご砲火炊き(炊きたて) JPHーG100
加熱方式:圧力IHジャー炊飯器
内釜:土鍋、内側フッ素コーティング
特徴1 土鍋ならでの激しい対流と細やかな泡立ちによって米粒の組織を壊さず、甘み成分を閉じ込めます。
特徴2 土鍋ならでの高火力と蓄熱性の高い遠赤土かまどが土鍋にしっかり熱を伝え、土鍋の遠赤外線効果でお米一粒一粒を芯までじっくり加熱します。
三菱 本炭釜 NJ―AWB10
加熱方式:IHジャー炊飯器
内釜:炭、内側にハードコード100(フッ素加工)使用
特徴1 炭の遠赤外線効果によって大火力を生み、お米の芯までしっかり熱を伝えます。
特徴2 釜底の凸形状が中央部に気泡をより多く発生させ、激しい熱対流を起こすため、よりふっくら炊きあがります。
特徴3 圧力をかけないため、米粒の組織を壊さずに炊き上げます。
まとめ
お気に入りの炊飯器はございましたか。
おいしいご飯を作るために、各メーカーでさまざまな工夫と高い技術を駆使しているのですね。
土鍋や高い技術を搭載している製品は価格もより高めとなっています。
ご飯は毎日の食卓にはかかせません。お財布とも相談して、我が家に合った炊飯器を選びます。
参照
- 新しい調理学 編集 川端晶子 大羽 和子
- 辰口 直子 渋川 祥子 日本調理科学会誌 『材質及び厚さの異なる鍋の調理特性に関する研究』(2000)
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