MCTオイルこと中鎖脂肪酸をご存知の人も多いでしょう。
中鎖脂肪酸は脂肪対策に有効な油脂として機能性表示食品や特定保健用食品としても販売されています。
私が中鎖脂肪酸を知ったのは病院で栄養士として働いていた頃です。
中鎖脂肪酸を腎臓病食のエネルギー補給として提供していました。
その中鎖脂肪酸がダイエットにも活用できるというのです。
しかし、中鎖脂肪酸の使用方法を間違っていないでしょうか。
中鎖脂肪酸は油脂であるゆえ、使用方法を間違えると逆に肥満を招くことになります。
管理栄養士・サプリメントアドバイザーの筆者が中鎖脂肪酸の効果や正しい使用方法についてお話します。
レシピも掲載しましたので、ぜひ活用してみてください。
中鎖脂肪酸とは
脂肪酸とは体についている中性脂肪を構成する成分で、炭素や水素、酸素からなります。
C(炭素)の数によって、短鎖脂肪酸と、中鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸に分けられます。
ヤシ油やバターなどに含まれる中鎖脂肪酸は実は数パーセント〜数十パーセント程度です。
そのため、過剰に摂取すれば、脂肪が蓄積されて肥満の原因となります。
中鎖脂肪酸を100%含む機能性表示食品の食用油「日清MCTオイル」
次に中鎖脂肪酸の効果について詳しくみていきましょう。
中鎖脂肪酸(MCT)の効果とは
中鎖脂肪酸には次の効果があるといわれています。
- 脂肪がつきにくい
- 認知症の進行を予防
- 体脂肪を消費しやすい
一つひとつみていきましょう。
脂肪がつきにくい
食事として摂取した脂肪は消化酵素によって分解されて小腸から吸収されます。
吸収された後、再び中性脂肪に合成されて脂肪組織や筋肉、肝臓など全身に脂肪を送ります。
各組織で脂肪をエネルギー源として利用し、余分は中性脂肪として蓄積されます。
摂取した大部分の脂肪は全身をめぐりますが、中鎖脂肪酸は直接肝臓へと吸収され、速やかにエネルギー源として利用されます。
そのため、再び中性脂肪に合成されることがなく、脂肪が蓄積しにくいのです。
認知症の進行が予防できる?
脂肪がエネルギー源として利用できるのは脂肪酸の代謝によってケトン体が生成されるからです。
絶食時や糖質制限の際には、糖の代わりに脂肪を分解してエネルギーを得ます。
また、長時間の運動で、糖が枯渇した際にも体脂肪からケトン体を生成してエネルギー源として利用します。
このように活動するためのエネルギーとなるケトン体ですが、実は脳のエネルギー源としても重要です。
何らかの理由で糖を利用できなくなったアルツハイマー型の認知症において、ケトン体を代替えエネルギーとして利用し、認知症の進行を予防できるのではないかと言われています。
体脂肪を消費しやすい?
中鎖脂肪酸は脂肪がつきにくいと話しましたが、エネルギー源として作られたケトン体を消費されなくては意味がありません。
中鎖脂肪酸には体脂肪が消費しやすくなる理由があります。
それは、中鎖脂肪酸の摂取後は代謝が上がりやすいからです。
中鎖脂肪酸は長鎖脂肪酸よりも食後の熱産生(食事誘発性熱産生)が高まり、体脂肪が減少することが研究結果で示されています。
熱を産生し代謝が高くなることによって、よりエネルギーも消費されやすくなるということですね。
中鎖脂肪酸の使用方法、間違えると逆効果?
脂肪対策に良いとされる中鎖脂肪酸ですが、使い方を誤ると、ダイエットどころか、肥満の原因となります。
中鎖脂肪酸の使用方法のポイントは次の2つです。
- カロリーを摂りすぎない
- 糖質を摂りすぎない
カロリーを摂りすぎない
お肉やバター、揚げ物など他の食品からの油脂を摂りすぎたり、食べすぎたりしてカロリーを摂りすぎてしまうとは逆効果です。
消費エネルギーよりも摂取エネルギーが高いことによって、余分なエネルギーが脂肪として蓄積されます。
中鎖脂肪酸とはいってもエネルギーが十分あるときは脂肪として蓄積しまいます。
食べ過ぎによるカロリーオーバーには注意しましょう。
糖質を摂りすぎない
糖質はエネルギー源として利用されますが、糖質に偏った食事により、体に糖が多い状態では脂肪が消費されません。
体に糖が多い状態では、糖を優先的にエネルギーに利用するからです。
運動不足や活動量が低ければ、そのまま脂肪は利用されずに蓄積します。
中鎖脂肪酸はどのくらい摂って良いの?
中鎖脂肪酸がいくら脂肪を消費しやすいといっても好きなだけ摂って良いということではありません。
中鎖脂肪酸にもカロリーがありますからね。
中鎖脂肪酸を使用する上での注意点は次の2つです。
- 1日の脂質目標量を超えない範囲で
- 他の油脂を中鎖脂肪酸に置き換える
1日の脂質目標量を超えない範囲で
日本人の摂取基準において、脂質の目標量は男女とも1歳以上でエネルギーの20〜30%です。
例えば、1日の摂取エネルギーが1600kcalの場合、
1600kcal✕20〜30%=320〜480kcal
脂質は9kcal/1gなので、
1日に脂質目標量は約36g〜53g
となります。
目標量を超えますと、脂質の過剰摂取となります。
中鎖脂肪酸を食品に加えるときは他の油脂を摂りすげていないか見直してみると良いですね。
他の油脂を中鎖脂肪酸に置き換える
通常の食事における脂質量やカロリーが高い状態でMCTオイルなどを加えますと脂質を摂りすぎる可能性があります。
目標範囲内で長鎖脂肪酸(通常食事に含まれる油脂)を中鎖脂肪酸に置き換えるようにしましょう。
例)マヨネーズの代わりにMCTオイルを使用
ちなみに、日清MCTオイルは1日2gまでとなっています。
販売食品については表示を確認して、1日の摂取量を守りましょう。
体脂肪を消費しやすい体にするには?
長距離マラソンなど長時間の運動ではパフォーマンスを上げるために低糖質・高脂肪食のケトン食と言われる食事が知られています。
アスリートがケトン食を継続することによって脂肪からケトン体を生成し、それを利用できる体にすることでより高いパフォーマンスが期待できるとされています。
中鎖脂肪酸を利用することによって、厳しい糖質制限や高脂質食の必要はなく、より継続可能なケトン食となるでしょう。
中鎖脂肪酸により体脂肪を消費しやすい体にするには2つのポイントがあります。
- 間食を避ける
- 中鎖脂肪酸を継続
間食を避ける
間食をすると、血糖値があがり、先ず糖をエネルギーとして取り込みます。
糖分が多い状態では脂肪は使われませんよね。
中鎖脂肪酸を継続
ある研究で健常人を対象に一般的な植物食用油を中鎖脂肪酸に置き換えて摂取した結果、体脂肪が中鎖脂肪酸の方がより体脂肪の減少量が高いことが確認されました。
1日や数日では効果は現れないかも知れません。
筆者もドレッシングの代わりにMCTオイルを使用したり、バターやベーコンの代わりにMCTオイルを使用したりします。
毎日使用しなくても、調味料の一つとしてストックしておくのも良いですね。
MCTオイルを使ったレシピ
バターやマヨネーズなど他の油をMCTオイルに置き換えることがポイントです。
MCT入りさつまいものサラダ
★材料(4〜5人分)
品名 | 分量 |
さつまいも | 150g |
きゅうり | 1/4本 |
人参 | 10g |
干しぶどう | 大さじ1 |
MCTオイル | 小さじ2 |
酢 | 小さじ1 |
塩 | 小さじ1/4 |
コショー | 少々 |
★作り方
①さつまいもは皮を剥き、茹でてつぶす。
②きゅうりは輪切り、塩もみをして水気をきる。
③人参はいちょう切りにして茹でる
④干しぶどうは水に漬けてやわらかくする。
⑤MCTオイルと調味料を合わせる。
⑥①〜⑤を合わせる。
★ポイント
マヨネーズの代わりに脂肪がつきにくいMCTオイルを使っていますよ。
野菜サラダMCT入り和風ごまドレッシング添え
★材料(2人分)
品名 | 分量 |
お好みの野菜 | |
ドレッシング | |
MCTオイル | 小さじ1 |
しょうゆ | 小さじ1 |
酢 | 小さじ1/2 |
ごま | 小さじ1/2 |
バター不使用MCT入りたらこスパゲッティ
★材料(2人分)
品名 | 分量 |
スパゲッティ(乾麺) | 120g |
たらこ | 40gい |
イカ | 80g |
牛乳 | 大さじ2 |
塩麹 | 小さじ1 |
MCTオイル | 小さじ1 |
刻みのり | 少々 |
★作り方
①たらこは薄皮を除いて身をほぐしておく。
②イカは腸を取り除き、5ミリ幅の輪切りにして茹でる。
③スパゲッティを茹でる。
④フライパンに牛乳、塩麹を入れて熱し、たらこを加える。さっと火を通したら火を止める。
⑤スパゲッティ、イカ、MCTオイルを加えて混ぜる。
⑥器に盛って、きざみのりを添える。
★ポイント
イカはボイルされたものだと便利です。
MCTオイルは生食用ですので、炒め物や揚げ物などには使用しないでください。
まとめ
中鎖脂肪酸は脂肪がつきにくく、体脂肪を消費しやすい性質があります。
しかし、使い方を誤ると逆に脂肪が蓄積して逆効果な場合も。
中鎖脂肪酸の使い方のポイントは次の4つです。
- 食べ過ぎによってカロリーを摂りすぎない
- 糖質に偏った食事を避ける
- 間食を控える
- 中鎖脂肪酸は他の油脂を一部置き換えて使用
食生活は主食、主菜、副菜を基本に、バランスの良い食事を心がけることが大切です。
毎日、体内に入る脂質のチェックはお済みですか?
年齢を重ねるごとに、脂肪はつきやすくなります。
MCTオイルは「BMIが高めでおなかの脂肪が気になる方に適した食品」として販売されている機能性表示食品です。
ぜひ、一緒に脂質対策してみませんか?
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