幼児期は、身体の大きさに対して体表面積当たりの必要栄養量が多いため、1日3回の食事のみで摂取することはむずかしく、1〜2歳では1日5回、3〜5歳児では4回程度に分けて摂取することが望ましいとされています。
おやつとして間食を与えて不足分を補います。
おやつといっても、食事の一部ですので、スナック菓子や甘いものばかりを与えることはおすすめできません。おやつの与え方として、おにぎりや、果物、芋類、野菜、牛乳などのたんぱく質を含む食品が良いでしょう。
しかし、お出かけだったり、忙しかったりして、いつも手作りおやつが与えられるとは限りません。
そんなとき、便利なのが市販のおやつです。幼児期にとっておやつは心身の発達に大切ですが、市販のおやつの場合、何を与えたら良いか迷ってしまいます。
そこで、保育園の栄養士経験からおやつ選び方とおすすめ市販おやつを紹介します。
幼児期のおやつの選び方
4歳の子どもがいますが、市販のおやつはどんなものを与えたら良いのでしょう?
甘すぎるものや食品添加物が何種類も入っているものはおすすめできません。
市販のおやつを選ぶポイントについてお話しますね。
栄養補給のできるおやつを選ぶ
3−5歳のおやつの量は1日のエネルギーお15〜20%で、150〜250キロカロリーです。
少食の場合は、軽食としておやつにおにぎり、牛乳や乳製品のようなたんぱく質を含むもの、イモ類、果物などを組み合わせて、1日のエネルギー量が不足しないようにしましょう。
裏の栄養成分表示のエネルギーを
チェックしましょう。
不足しがちなカルシウム、鉄が補えるおやつを選ぶ
平成30年国民健康・栄養調査報告によると、1〜6歳のカルシウム摂取量の平均値は396㎎、鉄の摂取量の平均値は4.2㎎でした。いずれも日本人の食事摂取基準(2020年版)を下回っております。
カルシウムや鉄は食事から摂ることが難しい現状といえます。
鉄が不足すると貧血の原因となります。
カルシウムや鉄を多く含むものを積極的に取り入れることが大切ですね。
少食や偏食などで、カルシウムや鉄の摂取が難しい場合は
おやつで補うのもよいでしょう。
噛む力をつける適度な固さのおやつを選ぶ
幼児期は噛む機能が完成していく時期でもあります。
噛むことは「どんな音がするのか」「どんな味がするのかな」とさまざまな食べ物の音を聞くことによって、楽しく学ぶことができます。
噛むとどんな効果があるの?
・唾液の分泌が増える
・あごの発達
・脳の発達
・消化吸収を助ける
・肥満予防
などの効果があるといわれています。
りんごや野菜のスティック、おせんべいなどお子様が噛める適度な固さの物を選ぶと良いでしょう。
甘すぎないおやつを選ぶ
世界保険機関(WHO)は2015年に、ガイドライン「成人及び児童の糖類摂取量」を発表しました。
ガイドラインの内容は、成人及び児童の1日当たりの遊離糖類摂取量を、摂取エネルギーの10%未満に減らすよう勧めているということです。
遊離糖類というのは、果汁や清涼飲料水、炭酸飲料、ゼリーなどに含まれるブドウ糖や果糖などと、菓子などに含まれる砂糖などのことです。また、はちみつやシロップも糖類のなかまに入ります。
糖類を摂り過ぎるとどうなるの?
砂糖やブドウ糖などの糖類を摂り過ぎは虫歯や肥満、糖尿病の原因となります。
砂糖を多く含む菓子類やブドウ糖を多く含むジュースや、スポーツドリンク、コーラ、乳酸菌飲料などは飲みすぎないようにしましょう。
3−5歳児が摂れる糖類の量はどのくらい?
3−5歳児の1日の必要エネルギーは、日本人の食事摂取基準(2020)によると、
男児で1300カロリー、女児で1250カロリーなので、
男児
1300カロリーの10%は130カロリー
130カロリー÷4カロリー≒32グラム
(糖類の1グラム当たりのエネルギーは4カロリー)
女児
1250カロリーの10%は125グラム
125グラム÷4≒31グラム
菓子や飲料水に含まれると糖類
- ショートケーキ1個 19グラム
- チョコレート1枚 29グラム
- クッキー2枚 6グラム
- キャラメル2粒 7グラム
- 濃縮果汁100cc 10グラム
- サイダー100cc 9グラム
原材料に砂糖やブドウ糖、果糖などが最初に
表示されているおやつは糖類が多く含まれている場合があります。
食品添加物がなるべく入っていないおやつを選ぶ
市販のおやつには保存料や甘味料、調味料、着色料、増粘剤、膨張剤、乳化剤などの食品添加物が含まれます。
食品添加物は、多くの食品に含まれており、全く入っていないものを探すのは容易ではないでしょう。
日本では使用が認められていない食品添加物の使用は禁止されております。
また、食品添加物(指定された多くの化学的合成品)には使用基準が設けられており、1日摂取許容量(ADI)を超えてはなりません。
※1日摂取許容量(ADI)とは、ヒトが生涯にわたって摂取し続けても有害な影響を受けないと考えられる1日摂取量のことです。
食品添加物は食品の色を鮮やかにしたり、安定させたりするために使用されますが、手作りのおやつではあまり使用しませんよね。
例えば、家でスポンジケーキを作るとき、卵や砂糖、牛乳、小麦粉だけで、乳化剤や膨張剤を使用しなくても、じゅうぶんふわふわのスポンジケーキが作れます。
幼児のおやつは、栄養補給だけが目的ではありません。食べ物もつ本来の味や、香り、色を感じたり、味わったりすることによって、心の発達を助ける意義もあります。
市販おやつにはどんな食品添加物が
入っているの?
・保存料:ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、安息香酸など
・甘味料:スクラロース、アスパルテーム、ソルビトールなど
・調味料:アミノ酸等(L-グルタミン酸ナトリウムなど)
・着色料:β―カロチンなど
・増粘剤:カラギーナンなど
・膨張剤:硫酸アルミニウムカリウム(ミョウバン)など
・乳化剤:大豆レシチン、大豆サポニン、リン酸塩
・その他:イーストフード、ショートニング
市販のおやつを選ぶときは、原材料の表示を確認して、ふなるべく食品添加物が入っていないものにしましょう。
元保育園栄養士が選んだ市販のおやつはこれ!おすすめおやつ8選
スーパーやコンビニで見つけたおすすめ市販のおやつ8つ紹介します。
お出かけのときにはぜひお試しください。
ビスケット・スナック菓
マンナボーロ
栄養成分表示(1袋)
エネルギー | たんぱく質 | 脂質 | 炭水化物 | 食塩相当量 | カルシウム |
14kcal | 0.06g | 0.1g | 3.3g | 0.0012g | 28㎎ |
特徴
☆口溶けが良く、あかちゃん(7ヶ月ごろ)から大人まで食べられます。
☆砂糖が入ってないのに、やさしくまろやかな味わいです。
☆栄養機能食品(カルシウム)
1才からのかっぱえびせん
栄養成分表示(1袋)
エネルギー | たんぱく質 | 脂質 | 炭水化物 | 食塩相当量 | カルシウム |
31kcal | 0.3g | 0.09g | 7.2g | 0.09g | 24㎎ |
特徴
☆油不使用、塩分25%カットで、さっぱりした味わいです。
☆えびの風味がよく、塩分カットでもおいしく食べられます。
岩塚のお子様せんべい
米菓
栄養成分表示(1個包装当り)
エネルギー | たんぱく質 | 脂質 | 炭水化物 | 食塩相当量 |
23kcal | 0.3g | 0g | 5.4g | 0.15g |
特徴
☆岩塚のお子様せんべいに含まれているデンプンは消化吸収が良いので、胃にやさしい。
☆サクッとしていますが、口溶けが良いので、赤ちゃん(7ヶ月ごろ)から幼児まで食べられます。
こだわり極プリン
生洋菓子
栄養成分表示(1個あたり)
エネルギー | たんぱく質 | 脂質 | 炭水化物 | 食塩相当量 |
167kcal | 5.6g | 7.7g | 19.1g | 0.1g |
特徴
☆原材料は卵と砂糖、牛乳のみなので、手作りのような味わいが楽しめます。
☆なめらかでのど越しが良いので小さなお子様でも食べやすいです。
発酵乳
小岩井生乳100%ヨーグルト 200g
栄養成分表示(100g当り)
エネルギー | たんぱく質 | 脂質 | 炭水化物 | 食塩相当量 | カルシウム |
65kcal | 3.2g | 3.8g | 4.6g | 0.12g | 110㎎ |
特徴
☆原材料は生乳のみで乳の濃厚な味わいがします。
☆クリーミーでなめらかな食感です。
☆栄養価が高いので、軽食としての栄養補給におすすめです。
ドライフルーツ
種ぬきソフトプルーン
栄養成分表示(100g当り)
エネルギー | たんぱく質 | 脂質 | 炭水化物 | 食塩相当量 | 鉄 |
243kcal | 2.3g | 0.1g | 61.3g | 0.01g | 0.8g |
特徴
☆不足しがちな鉄が補給できます。
☆ドライフルーツならではのプルーンの甘さが濃縮されています。
歯につきやすいので、食後にお茶や水分を飲んで
きれいにしましょう。
干し芋
やわらか干しいも
栄養成分表示1袋(52g)当り
エネルギー | たんぱく質 | 脂質 | 炭水化物 | 食塩相当量 |
140kcal | 2.1g | 0.3g | 33.9g | 0.08g |
特徴
☆原材料がさつまいもだけなのに、とろけるような自然な甘さがあります。
☆やわらかいけど、噛みごたえもあります。
☆食べ切りサイズでエネルギー補給に最適です。
やわらか干しいもはコンビニでお買い求めできますよ。
食後はお茶や水分でお口のなかをきれいにしましょう。
その他
味源 サバチ(さばチップス)
栄養成分表示(1袋30g当り)
エネルギー | たんぱく質 | 脂質 | 炭水化物 | 食塩相当量 | カルシウム | 鉄 | DHA | EPA |
160kcal | 4.0g | 9.2g | 15.4g | 0.7g | 79㎎ | 0.3g | 60㎎ | 9㎎ |
特徴
☆DHAやEPA、カルシウムを多く含むサバをチップスにしました。
☆サバが70%も含まれているのに、サクっとして軽いほんのり塩味のチップス。サバが苦手な子でもこれなら食べられそう。
☆サバのたんぱく質が同時に摂れます。
※DHAは母乳の中にも含まれ、脳神経系に多く含まれ、脳神経系に多く存在する脂肪酸なので、子どもの神経の発達に良い作用をするといわれています。
サバチ(さばチップス)の食べ切りサイズ(17グラム)がファミリーマートでお買い求めできますよ。
お仲間のツナチもおすすめですよ。
(一部の地域を除く)
ツナチ
まとめ
幼児期にとっておやつはすこやかな成長のために重要な役割があるといえます。
必要な栄養量を補給する意義においても、おやつに牛乳やヨーグルト、豆乳などの飲み物を組み合わせることをおすすめします。
また、おやつは、食事とは違う食感、味、香りから、楽しさを味わうことができます。気分転換や休息、心のやすらぎにもなるでしょう。
おいしいおやつを味わったり、一緒におやつ作りをしたりすることは、食べ物に興味をもつようになります。手洗いなどの衛生管理やあいさつなどのマナーを学ぶことによって、よりよい食習慣を身につける機会となります。
幼児期のおやつは重要な
役割があるのですね。
市販のおやつを選ぶ際は、原材料などの表示をチェックしてみましょう。
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